ことば
室町 礼
ことばって不思議だよね
ことばに泣き
ことばに笑い
ことばに憎悪する
ことばはカミソリになり
蜜になり
花にもなる
機関車にもなるし
風にもなる
芥川はこう言いたかったので
はないか
ことばは一箱のマッチに
似ている。
重大に扱えぬ人間の一人が
わたしかも知れない
重大に扱えぬわたしが
重大に扱えぬ人間をたしなめた
そうするとその男は
深く傷ついたようだ
その男は
わざわざこのサイトにまで来て
傷ついた醜い己をさらし
傷つけた相手を罵った
なんとまあ罪深いことか
ことばよ
おまえは人を慰め
人に希望や喜びを与える
なのにどうして
暗黒の一面を持つのか
人をここまで醜くさせるのか
傷つくことばかりが
上手になった
大人たちが
ことばの橋を往来している
ことばを介して
愛を語り
救済を語り
夢を語り
そして
憎悪を心の奥深く
言語化している
そのような負のことばに
イイネした詩人がひとりいた
わたしは
その詩人へのイイネを
すべて取り消し
フィルターをかけた
むかし
ことばを滅多に口にしなかった
人がいた
(ああ詩人なんて
ろくでもない)
あなたは誰よりも多くの
ことばをわたしに置いて
いった
あなたのことばは
目に見えないものだった
それをいまになって
探している