ムーヴマン
ふるる

夜が空けた。
立体的に、次々と、パタパタと。

画角のはじは暗い
焚き火が燃えていて少しずつ暖かい
手をかざしながら思い出す
ラムネのビー玉の音
レモン色に水色がよく合ったお祭り広場だった
水城エミさんの長い黒髪がなびいて唇にくっついていた
密集したまつ毛にふちどられた瞳の深さはどのくらいか
水深10000m。。。。。。。。
光の届かない……

悲しみをほんのりたたえて佇む姿
海底で拾ってきたようなバッグ抱えて
なぜか白い服で
真珠の飾りがついた
冷たい手鏡を出そうとして
波打ち際にふらふら立っていた
いや、あれはエミさんじゃなくてスミコさん……
だったかも

やがて立ち上がる
遠くの山がブルーに淡くかすんでいる
一輪挿しに雪柳が揺れておぼつかない
一輪車に乗ってみたかったな
あまりじっとしすぎるのはよくないと思う
苦しまないで描こう
留めることができない夜明けの色

ここはうんと明るく。


自由詩 ムーヴマン Copyright ふるる 2025-09-02 00:16:47
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