サンセット/あんさぁ
ひだかたけし
鎮まる夜の静寂に
隙間のすぅうと
空き開き 、
奥まりいく
明るむ半月の照り返し
やはらかちかく
息を殺し潜むもの
息を潜め吹き返し出し
だれ?なに?
問えば 、
アナタの暗魂に火を焚き
ずっと隠れてたたげ
ずっと取り憑いて
けれども
この装い如何かしら?
光の層を通り抜け
光を担い掲げ持ち
夜陰の時へと沈み込み
そんなに美しい装いで
誘われて誘いて
飲み込み呑み込まれ
何時しか思考すら放棄され
何れ五体満足で居られなく
なるんだから なるほどね
凍える如く美しく熱い装い携え
誘って擦って惑わせやがて暗黒へ
地獄でも天国でも無い処 へ
皆ぃんな此処に堕ちて落ち着く
だって誰一人として気付けない
だってあたしの支配領域だから
だって、あなたが一番正しいんだもの
そう、もう何にも考えず想わずで良い
だって、あなたが一番善いんだもの
高みから他人を見おろして居る
自分の在り方に気付かずに人を悟し
向こう側に突き抜け自ら悟ったつもりで
そうそうそうなの
アナタは本当に開悟したのよ
いやいやノンノン
ちとちゃう違う全然違う
鎮まる夜の想いの
ぽっかり開き奥まる
隙間に吸い込まれながら
ツギハギだらけで
それが一番だと
感覚享受を()に入れ
思考振動のみに集中体験し
*〈目が見ることのできる前に
涙を流すのをやめなければならない〉と
感じる想いを外に出さず内に秘め
内面化された感情を意識化し
時の刻むチクタクチクタク無機音に
もう熱狂幻滅を繰り返す事無く,
(ソレこそバケモノの正体なりと)
人の自由であり得ることの
悪も善も成し得る揺れ動き、
アクマを内から外から
引き連れながら
ひと、ひと、ひと
あくまでも
魔と魔の真ん中にて
均衡バランスを取りつつ
意識の次元をそれぞれに
それぞれのペースで
無数のルートから
同じ頂きへと
進化させながら
しずまる夜のしじまを
来たる破滅へと対抗し、
夜明け呼び込み生き抜いて
*ルドルフ・シュタイナー『秘教講義3』より引用