ここにある塵の一辺と等しい辺を持つ塵はいくつ存在したか
R
これまでに人は
この世界に塵芥のごとく
いいえ、もっと些末な
不織布マスクになら引っ掛かるような
やっぱりすり抜けるような
ええ、そんなアレでした。
たとえば私の裡の、あるひとつの考えと全く同じ考えを持ったことのある人は、それはそれはもう沢山いたでしょうし今もきっとそれなりにいるのでしょうが、それについて特別な交流をすることはなく、私はといえば最近スマホで本を読むことを覚えましたが、そんなふうに各々が個を自覚しながらも誰かと誰かと……材料については羅列した後にダブったものを括り出すことになるのでそれほど多くはいらないでしょう、己を複数の他人から成るキメラのように言い表すことができるのです。
というような話は
誰かがもう話したことでしょう。
いいえ、それが残っているかはどうだっていいんです
ほんとうに
そんなことよりも
頭蓋骨の継ぎ目のように大切にしてきたものが
実はミトコンドリアだったとわかってしまうことの方が
(強いて言葉にするならば)
おそろしいではありませんか。
ですから私はほとんどもう
生きている同類を探し出すことを諦めています
だって ねえ?
見つけたとして どうしろっていうのでしょう
それがまた死にゆくのをみていてやれば良いのでしょうか。