シルルの森へ
道草次郎

めいっぱい仕事をつめこんだ
ADHDの鞄
ふたまわりも下の人が
リスケと言って
はじめてリスケの意味をしった

ぼくの歩いてきたのは
何処の砂漠だったか
おせわになった人の顔も
いやな記憶も
等しく滲んだ

あれからいろんなことがあった
わけでもなく
まるでひとりでに
こどもがうまれ
年寄は
うまれてきたところへもどっていった

誰かがそっと
耳元で囁く


ほんとうは
ハチドリだよ



濡れてやぶけたスケジュール帳が
シルルの森へ
羽ばたいてゆく


自由詩 シルルの森へ Copyright 道草次郎 2025-08-27 06:17:53
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