裁判員日誌2-2
TwoRivers

この度、強盗致傷事件の裁判員として職務を全ういたしました。
この貴重な経験を記録し、皆様と共有したいという思いから、こちらに投稿しました。

初日の午後からは参考人質問がありました。

最初の参考人は、被告人と共に強盗致傷事件の実行役を務めた、当時17歳の少年でした。
未成年であるため、傍聴席から顔が見えないよう、彼の周りには衝立が置かれました。
検察側と弁護側から、事件および被告人に関する質問がなされました。

今回の強盗致傷事件については、以下の役割で構成されていました。
実行役:今回の被告人とこの17歳の少年(店員を脅して金品を奪う)
運転手役:20代の男性(現場の送迎、逃走)
指示役:具体的な指示を出し、全体を統括する人物

裁判時点では、指示役のみが逮捕されておらず、
他のメンバーは全員逮捕・拘留または服役中でした。
組織的で計画的な犯行であることがうかがえます。

被告人が自らSNSで闇バイトに応募したのに対し、
少年は当時の職場の上司から執拗に誘われ、断り切れずに実行役になったと証言しました。
また、彼は今回が2回目の強盗実行であり、
前回失敗したため、今回は成功させなければならないという状況にあったとのことです。
しかし、前回・今回ともに報酬は受け取れず、指示役とは連絡が途絶え、そのまま逮捕に至りました。

少年は少年院で1年以上過ごした後、既に出所し、
害虫駆除業者として社会復帰を果たしていました。

検察、弁護側からの質問が終わると、休憩を挟み、裁判官と裁判員による質問が行われました。
このとき、裁判員も自由に質問できるため、私は以下の点について尋ねました。
・犯行後の被告人とのやりとりについて
・被告人とのやりとりで気になることはなかったか

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参考人の少年は、大柄で筋肉質、受け答えも明瞭で、ぱっと見は「快活なスポーツ少年」という印象でした。
監視カメラに映っていた暴挙を働く人間とはとても思えませんでしたが、
喧嘩で少年院に収容された経験もあると聞き、
犯罪行為を語る際の言葉の軽さに、どこか倫理的欠如を感じました。

素直な子供をさそった悪い大人の責任ということを感じると同時に、
こういった人間を生んでしまう社会構造(闇バイト社会)への怒りを感じました。

弁護側の質問では、被告人の軽度知的障害の特性を感じさせた内容を引き出すためか
「被告人がしゃべってておかしいな、変だな、話が通じないなと感じたことは」
「監視カメラの映像だと、少年の動きが鈍く、遅いと思ったんだけど、足手まといじゃなかった」
といった質問もされました。
弁護側の仕事であるとはいえ、やはり誘導的であり、
他人の無能力を言葉にさせるということに不快感を感じました。

最後の裁判所からの質問では、
法廷で言葉を発することや犯罪者と会話をするという緊張感もありましたが、
自分を気になっていることを聞くことができました。

犯行にどれほどの積極性で取り組んだのか、という点が気になっていましたが、
少年が「(被告人から)『早くやりたかったですよ』『僕は刺す気でやりますよ』
といった強盗への積極的な言葉を聞いて怖さを感じた」と証言し、
その一端を垣間見ることができました。


散文(批評随筆小説等) 裁判員日誌2-2 Copyright TwoRivers 2025-08-23 18:13:56
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