独善の闇の中をかぐわしき花が誘い星々が照らす
杉原詠二(黒髪)
独善ほど人の心を傷つける罪はないでしょう。権威を持った独善が、歴史的にどんなに悲惨を引き起こしてきたでしょう。独裁体制やカルト集団。つまり、他者の言葉を理解しようとせず、自分の正しさを絶対視し、検証を怠る態度――これこそが独善です。世界中の宗教で、独善は最も重い罪とされます。仏教での無明(無知)、キリスト教でのパリサイ人の偽善(=独善)。表向きは神に従っているようで、実は他者を裁き排除する。彼らは「自分は義人だ」と思い込むため、悔い改めない。イスラム教でも、「自分だけが正しい」と思い込むことはタクアブル(傲慢) とされ、イブリース(悪魔)が堕落した原因そのものです。何か主張したい場合、自分の論拠を確かめる程度のことはしましょう。独裁者やカルト指導者を生み出さないためには、社会が無知の本当の姿を常識として知っていることが必要なのです。社会を壊す者、歴史を悪へ導く者は、つねに無知無明の者でありました。自らの流した汗を、無明の暗黒の毒に変えてしまわないように、自分に責任をもって、他人を理解しようとしましょう。朝顔は誰をも差別せずに美しく咲くものです。毒ではなく、花の香りを心に満たすことが、私たちの未来を支えるのです。寂しさや劣等感から人を羨み、人に振り向いてもらえない悲しさは痛いほどわかります。詩に己を賭ける者は、その愚かさを超えていこうとするはずです。生まれながらのかたちに文句をつけることこそ、もっとも浅はかな偏見であり、真のレイシズムです。己自身の業を自分で引き受けて、己の力で死ぬまでの道を歩きましょう。その道はきっと、魂の花園に辿り着くことが出来るでしょう。だれも、互いを恨んではいけないのですから。友達や恋人の笑顔が、誰の胸にも灯りますように。宇宙の闇の中で星々は光り輝きながら遠い夢をどこかに届けているのです。夜空に星が見えるなら、太陽と月が昇るなら、どんな人だって独りじゃありません。