わたしの愛しい人
杉原詠二(黒髪)

わたしの方を向いては下さいませんか
胸が苦しいのです
涙がにじむのです
こんなに好きになって
あきらめられるものではありません

時にあなたを裏切り
時にあなたを傷つけ
でも約束は破ったことがありましたっけ

わたしの愛しい人よ
こっちを向いて
その瞳で
わたしを見つめて

美しい人よ
泥の中から美しい泉へと向かっていく
わたしの生き方は
見下げ果てたようなものでしょうか
軽蔑の泥にまみれて
苦しみの中で
人目も気にせず
柔らかく優しくなるべき快楽の
枯れた泉が石に変わり
人生を生きていなかった未来なきわたしは
わたしの理非についてすべてを
自己を賭けて克服してきました
わたしのすべてをかけて
あなたを愛しております

あなたの優しさが
私の苦しみに
光を投げてくれたのです

それゆえ
私の愛は
精神の愛と
呼べるはずです

ただひとつあなたに望む
わたしをすべてにおいて認めて欲しいと

醜くおかしくなったわたしの智慧の光が元に戻るときに
太陽は西へ沈もうとしています

私は自分の意思で手を差し出します
あなたは自分の意思で手を取ってくださいませんか
ふたりの愛の証として
燃え立ったものはもう消えることがない
太陽の残り火でマッチをつける
Start the fire


自由詩 わたしの愛しい人 Copyright 杉原詠二(黒髪) 2025-08-16 19:28:51
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