asagohan

湧水
ハグロトンボが舞う
エメラルドの躯を伸ばして
瞼のリズムで
翅がはためく

鐘は
教会を思わせる
夭折した作り手を
悼んでいるのかのように

石膏像の白
信州の山々に
まとわりつく雲

愛するものへの想いを絶つ
苦悶も

愛してはいけなかった人への
思慕も

沈黙と共に鎮座している。

膨大な時間の中に
切り残されて


自由詩Copyright asagohan 2025-08-15 10:23:52
notebook Home