人間の解剖は猿の解剖のためのヒントである
室町 礼
なんかこう
カラダが捻れてくる
骨格標本に抱かれた
駄々っ子のように
裏声で
歌いたくなる
カラダを貫く骨が
一本の鉄筋のように
ピンと
ほらピンとなる
となる
とカブキ者のように
大見得切りたくなって
さあ殺せ
殺せよ
壁面にあけられた穴から銃口が一斉に
照準を合わせているのはわかる
だれも味方ではないし
だれも救けてくれない
だれも言葉が通じない
そんな泣き言を千年
口角の泡は
蒸発してきた
金魚のように口をぱくぱくさせて
引き裂かれても
やつらは笑っている
そしてもういっそ
やつらに
殺させたいような気になる
高い城壁を今からよじ登り
その途中で射抜かれるのもいい
撃たれて
遙か下に流れていく河に落ちていく
のもいい
想像してみてよ
テレビを呼べよ
褐色の肌
痩せた胸を写せよ
さあ、殺せよ
新聞呼べよ
口からよだれを垂らしている
異教徒を記録しろよ
薄笑いして銃口の小さな穴から
螻蛄をみるように
美しい瞳でみているおまえたち
食事のときは
こそとも音を立てず
おならはトイレで静かにする
おまえたち
詩を読み
微笑みあい
静寂に心を捧げるおまえたち
銃弾はただの数字でしかない
おまえたち
今一度
目を閉じて顔をあげると
そこには青空が広がり
奇跡は
1枚3円のレジ袋にも
はいっておらず
何一つ変わりはなかったから
パン!
終わり
死者数ばかり報道して
朝のパンを食う
おまえたち
また
静かに詩を書きましょう
と唱和しなさい