いいよ、もう、全部陰謀論で
降墨睨白島(furusumi geihakutou)
昨年の陰謀論アワード第一位のネタは恐怖を国内に撒き散らすための囮だったという陰謀論が今年度のアワードランクインして物議を醸している。今や世は陰謀論フィーバー(古いなぁ)。僕の先生フィーバーは、いや、冗談ではない、僕の陰謀論の先生はファミリーネームがフィーバーなのだが、これからは上質かつ世界中が納得のいく陰謀論を語らないと遅れを取り、ひいては国益を大いに逃すと言っていた。僕も早く陰謀論者2級ぐらいにはなりたいが、なかなか上質な陰謀論を思いつかない。今や世界を変えるのも救うのも陰謀論だ。今夜は伝説の陰謀論の木を見に行く。青年団の企画だから仕方がない。陰謀論の木は木の枝を上から下に引くとなぜかガチャガチャと音がして樹の実がころりと落ちてくる。それを割ると陰謀論のタネが入っているそうだ。他人任せじゃいけない、陰謀論は自分で考えなきゃとは思うが、才能のない僕は背に腹を変えられない。深夜、ようやく木の下にたどり着きなぜか代表して僕が枝を引いた。すると確かにころりと実が落ちた。しかし、そこには何も入ってなくて陰謀論の木自体が陰謀論じゃないのかという結末を想像した。果たして、実を割ると何か書かれた紙が入っていた。小さな文字がびっしりと書かれている。読んでみると内容は婦人の陰毛を手に入れて難を逃れるという風習の科学的アプローチだった。陰謀論の木は陰毛論の木だった。あまりにもバカらしいので青年団のみんなで車座になり大いに酒を飲んで歌い夜を明かした。