空のオルゴール
杉原詠二(黒髪)

空のオルゴールよ
すべての赤ちゃんのための
祝福の音
君は愛されるために生まれてきた
本当にみなに愛されている

誰も君を憎みはしない
誰もがそういう時を通った
憎まれる赤ちゃんなんていない

父性よ母性よ
いざ立ちあがれ
お父さんの穏やかな笑い顔
お母さんの静かな微笑み

われわれの責務はただひとつ
平和で穏やかな世界を作ること
その中で安楽に生きていくこと
困難な道のりは
すべて理由があって生じたものだ
それを維持するために
明るい未来をみんなが描く

弱きものを祝さんと
主の御霊に祈りを捧げ
愛がすべてを包んだら
宇宙が優しく波立っているよ

人間存在への祝福
善く思ったときだけ善くなる
悪く思えば悪くなる
人への慈悲は無限
光の粒が無量に散らばる
悲しみ忘れた悲しさに
今日はいいこと起こるといいな
みんなが楽しく生きるため
法に尋ねなければならない
しっかりとした気づかいの中で
互いに信頼を強く持っている
輝く瞳の中に
すれ違う人々は魂を覗き見る

みんなが赤ちゃんには優しくするよ
大変な生育を立派に終えて
みんなを笑顔に変える君のために
苦しみに耐えて頑張っているよ
強く優しく育っていって
いま君の力は君の力で
わたしたちの力はわたしたちの力
人類の全業が
鬨の鐘をきいて色めき立つ
しかし風には悲しい予感が含まれていた

空のオルゴールが高らかに鳴る
すべての戦争は殺し合い
ついに光の咆哮が空を裂き
きのこ雲を吐き出す
破壊と悲鳴と汚辱が現われた
一瞬のうちに
街は影だけを残した
風が黒ずみ
街全体が地獄の跡となった
末期の水を求め
うろつき回る犠牲者
それらの痛みを記憶している人がいて
様々な記録が残っている
人は大切なことは忘れないものだ
たとえ負の記憶であったとしても
それを正に変えていく
力を人は持っている

やさしくすべてを鎮めていく
人々の祈りの力よ
神仏の全精力よ
聖なる力ここに在り
誰かが置き忘れた魂を
誰かが拾って天に届けた
天より降った主のマナが
魂の上に降り注ぐ
新たな菩薩の誓願かなうなら
その時こそが福楽の未来

赤ちゃんはやっと正しい汗をかいて
穏やかに笑っている
疑いを知らぬ瞳の
まつ毛が優しい

赤ちゃんよ
問うことを覚えなさい
自らに問うて
決めていかねばならない時が来る

あなたも赤ちゃんから大きくなった
わたしの心を刺激して回るあなた
わたしはあなたの存在を捨てられない
I love you
Please answer, my baby
People live for love
Why may we not?


自由詩 空のオルゴール Copyright 杉原詠二(黒髪) 2025-08-11 15:54:08
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