我々は薔薇に興味がない
降墨睨白島(furusumi geihakutou)

誰が言ったか知らないが
 言われてみればそんな気がする

            森田一義

  ※    ※    ※

女は言った。薔薇よりもあのマンションの方が良かったわ。と、
私は『凍らせて踏んでごらん。分かるから』と言った。
搭載型量子AIの調子が悪いのか彼女(恋人型ロボットまたはロボット型恋人)は「調子が悪い」。
決して彼女が悪いのではない。ドンキで買ったのだからこんな感じか。
性、暴力、女、子ども、動物、ドラッグとつぶやくと『宗教』と彼女は答えてシャットダウン。ベッドに横たわったので、私は超精巧シリコーンの彼女を愛とともに抱きながら愛して『宗教』と呟いた。彼女のブラックホールが私とすべてを吸い込んで果てた。
おい、薔薇よりもあのマンションの方が良かったわ、なんて、二度と言うんじゃない
『ソンナコトイッテナイワ』彼女が泣いていた。


自由詩 我々は薔薇に興味がない Copyright 降墨睨白島(furusumi geihakutou) 2025-08-10 03:41:16
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