コンビニ
杉原詠二(黒髪)

コンビニに明かりがついている
営業中
飲み物を買う
お金を払って
釣銭貰う
ありがとうございました
外の闇は黄色い月を浮かべて
雲のドレスに恥じらいかくして

わたしはいっかいも愛したことないんだよ
知識は持っちゃいるけれど
心の底まで純なんだよ
世の中に文句を言って
人を助けようとしているけれど
いっかいも愛したことないんだよ

愛する人の頭上に輝く月を
思い浮かべようとするけれど
幾つも山超えたところにある遠い土地
わたしは見たことがない
セックスピストルズを聞きながら
イングランドよりも遠い場所を
慕って
慕って
恋焦がれながら
今日も本を抱いて眠るよ

かつて神さまは人に罪を作った
誘うのは甘い香
わたしはそれを食べたくて仕方がない

純一に光と風が絡み合う現象
立ちはだかるのは緑の茨
棘で血まみれ
あの高貴なバラに辿り着けない

ああ
お月様おやすみ
光のバトンをお日様に渡して
わたしの涙は海にそそぐ
今日も夜は更けていく

わたしのあの人は赤いバラ
いつか目にしたあの色に
思慕が順々に浸みこんでいく

罪がどんな味がするか試したことがない
きっとあなたもそうだよね


自由詩 コンビニ Copyright 杉原詠二(黒髪) 2025-08-09 16:52:25
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