親しみある世界へ
杉原詠二(黒髪)
物には物の構造があり
独自の色や質感がある
なおった眼でそれらの語りかけを見ていると
やはりかつて生きていた木材に一番親しみを覚える
物になってもかつての生が痕跡を残している
暗い筋と明るい筋が
微妙な曲線を描きながら
美しく語りかけてくる
固いけどわたしを傷つけなくて
少し温度があたたかい木
この部屋の中にいても
まるで森の中にいるような感覚さえ思わせる
眼にも優しいんだよ
だからこそ
この世界で
生命への愛を
失われてしまうからこそ
大切である存在への希求を
思慕を
広げよう
地球にあるからこそ
宇宙内にあるからこそ
生命も物も
偉大である
その観察を今している
愛の観察
慈悲の観察
わたしは木について
これから学んでみましょう
そしてその優しさの理由を知りましょう
針葉樹と広葉樹の共存を考えましょう
森の広葉樹への感謝を持ちましょう
水源を確保させてくださり
わたしたちの地球を守る
大切な日本の広葉樹林への
無限の感謝を
胸の内で感じましょう
森を守るツキノワグマたち
永遠の価値持つ動物たちへ
力を以って愛と保護に努めることを誓います
人間も仏も自然より生まれ
自然なしでは生きていくことは不可能です
宇宙飛行士として出かけられるようになっても
地球抜きでは水や栄養は得られませんから
母星を離れて自立することは
地球自身の望みとは違っており
わたしたちは地球に背けないのです
地球を壊すことは
わたしたちの自殺であり
実際的親殺しです
そして人間がこのままエゴイズムを貫くならば
それが現実のものとなってしまいます
灼熱の太陽も
わたしたちを見守っていてくださいます
静かな月も
海と呼応し合って
やはり私たちを
生かしてくれているのです
大いなる大地と
大いなる海の
存在を想像せよ
大地はマグマを下に秘め
海は底知れぬ深さを持ちながら
魚介類藻類を生かし
わたしたちを静かに見てくれている
潮騒は響き
森林はざわめく
重力への恩寵を
美しく歌い上げた
シモーヌ・ヴェイユの慧眼と愛に
大きく感謝を
わたしの根っこはこの町
我が地元にあります
誰もが住みよい家を
家族みんなで作り上げました
人々は
それぞれの邸宅を
お大事に
招いたり招かれたり
親密な関りの中でこそ
人は幸せに生きて行けるでしょう
花や食物を送り合う
優しい生活の中で
地球の息吹を
しっかりと確かめて眠りましょう