蟻。
田中宏輔


髑髏山の蟻塚は
罪人たちの腐りかけた屍体である。

巣穴に手を入れると
蟻どもがずわずわと這い上がってきた。

たっぷりと味わうがいい。
わたしの肉体は余すところなく美味である。

じっくりと味わうがいい。
とりわけ手とくちと陰茎は極上である。





自由詩 蟻。 Copyright 田中宏輔 2025-07-28 14:12:11
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