津田沼パルコ
うめバア


わたしはやっぱり
PARCOが好きだったんだなあと思う

むかしのPARCOが
好きだったなあと思う

津田沼PARCOには
何度も、何度も行った
アルバイトで貯めたお金で
ヒステリックグラマーの
黄色いスカートを買った
一面にクマの柄のあるやつ
なんであんな
ヘンテコともいえるスカートを気に入ったのか
そう、あの黄色、あのクマの柄は
絶妙にヘンテコで最高だった
あのころのわたしは
そういうのが好きだった

千葉PARCOでは
大きな傘を買った
表が真っ黒
裏がレトロな星座柄で
これまた大の大のお気に入りだったのに
わたしはある日、電車でそれを失くした
わたしには、そういうところがある
あれから、あまたの傘を置き忘れてきたのだが
忘れられない傘は、あの一本だ

渋谷PARCOは復活し
中には映画館も入っている
よかった、渋谷にPARCOが戻ってきて
―あのころの渋谷とは違う
あのころのPARCOとは違う
それでも、渋谷にはPARCOがあってほしい

渋谷もいいけど
一番の庭は、津田沼PARCO
わたしはこころのなかで黄色い電車に乗り換えて
津田沼駅で降りて、北口を出る
駅から屋外通路を渡ってすぐ
入り口付近にあった喫茶店
レコードがたくさんあって
おとなの空間、―そう思えたな
サンドイッチが好きだったから
よく、友達と待ち合わせた

住まいを変え、年を経て
津田沼で降りることはなくなった
わたしのなかのマップでは
まだ、津田沼は、PARCOにつながっている

青春の、物欲を、―詰め込んだあの場所が
つらいときも、苦しい時も
むかえてくれた
お金が少しばかりあるときは、そう
お金のないときはないなりに、そう


大宮PARCO、宇都宮PARCO
あちらにも、いるのだろう
わたしのようにPARCOを愛してやまない女子が
いい年をしたおばさん、いいえ、戦士たちが

誰かの悪口をいわなくても
誰かと比べて無理に合わせなくても
はたらいて
おかねをかせいで
すきなものにかこまれる
そういうプチしあわせを
そのくだらなさを
こうていしてくれる
あのころの、PARCOという、自由


PARCOのある街をあるくのが
わたしは好きだったんだなあとおもう

真夏のPARCO
喫茶店でクリームソーダ
陽の光に透けて
わたしはやっぱり
PARCOが好きだったんだなあと思う




自由詩 津田沼パルコ Copyright うめバア 2025-07-23 20:42:10
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