光の遣い
ひだかたけし

アゲハ蝶の華麗なタッチ、
触れるか触れぬか
微妙な脚使いにて枝に留まり
優雅ゆっくり開閉する羽の艷やか
光の国から飛来しては
光の国に焦がれ咲き開く花の密吸い上げ
またその流れる如き色彩はためかせ
光の国へと舞い上がり還っていく

 赤暗く染まった空 、
  茫洋と満遍なく
  拡がり包み込む
 罅割れた街並み 、

この地を後にし静やかに
予め終わりを織り込まれた
下界に育まれる果実だけ携え
その華麗な姿の次第に薄っすらと
陽光と同化しつつ
終焉近付く大地から立ち去り

頼れる鋼鉄の和らぎを取り戻し
叡智は光のなかにあると
舞い飛ぶ姿の華麗な軽やかさ

緩やかな放物線描きながら
不可視、螺旋階段を恙無く辿り

やがて光の国に帰着する

罅割れ廃墟と化した街並みを
その初めから一顧だにせず
赤暗く染まった空の遥か
遡行する時空の彼方に
光炎裂開し続け
やがて大地を回収し
次なる遊星へと
変容させる
宇宙根源の光響 、

アゲハの渦巻き木霊スル
言霊大音声に花密流し込み
同時に自らをも注ぎ込む

織り込まれ生きた神の衣装を脱ぎ









自由詩 光の遣い Copyright ひだかたけし 2025-07-11 18:03:10
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