砂塵の水
月乃 猫

 「 砂塵の水 」


砂塵
//////////・/・/風 

刺す 陽は陰 空は、銀の航跡
時間さえ 破壊された瓦礫の街に
休息を微塵に許さぬ 爆音の響き
怒号 号 号 号
叫び声
狂声
「・・・早く病院へ 
「 ほっておけ 逃げろ 
「 この子を タスケテ
  ・・さしあげます なんでも私の命を 
うめきさえも見放される
街は、、、


群れをなす 水汲み場に
襤褸々々のシャツの少女と 命に握りしめたひしゃげたタンク
男が 肩をつかんで群れのそとに 投げ出した
泣くこともない 水をもとめる
間違いなく
強いものが 生き残る



蛇口から流れる
この冷たい水を 届ける
喉をうるおす
透明なそれを 手にする 日常に
少女が差し出す 器に あふれるほどに
水を 満たす
一杯
一杯に
「 お母さんに 妹さんへ 弟さんへ
  持っていってください
  好きなだけ
  ほら、
  あなたも 飲んでください
  この水は、とても安心です
どうしても首を振る 少女
「 どうして、
  どうしてですか
  ここは大丈夫。安全ですから

それは起こらない
砂漠の瓦礫の 街の少女には


手に受ける幸せの 水が
こぼれてしまわないように
祈れ

ゴメンナサイ 
ゴメナサイ
ゴメン ナサイ






自由詩 砂塵の水 Copyright 月乃 猫 2025-06-18 09:29:46
notebook Home