哀しみと夢
栗栖真理亜
こぼれ落ちた涙が丸いカーブを画いて小さな金属の穴に吸い込まれてゆく
洗面器の白い肌に沿って
こんなにも希望が儚くて哀しいなんて思いもしなかった
今はただこうして鏡も見ずに傷みを堪えていたい
これが唯一、僕に対する罰だとしたら
どうしてこんなにも吐き出したくても吐けない苦しみがあるの
まるで口に拡がる血の味を必死に押し留めようとしてるみたいに
もう全てを投げ出して今は哀しみの渦に捲き込まれていたい
心が晴れ渡るその日がいつか来るまで
自由詩
哀しみと夢
Copyright
栗栖真理亜
2025-05-23 08:03:43
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