けもののうた
秋葉竹


 

悲しみが
映るまさおで美しい
空を飛べれば凍ってもよい



その夜の
心を凍らすほど貴(たか)い
満月ほどの清さを持ちたい



凍らない
涙は熱く頬つたい
ただヒリヒリと傷を刻むか



ぽよぽよと
たゆたう月や星のした
《真剣》を手に切り込む快楽



そのけもの
だけが悲しいほど好きで
そうかじぶんに似ているからです




月に舟
いっそう浮かべて姫さまの
千年むかしの恨みを聴こうか




ただ言葉
だけがすべてを伝えない
空気ではない真心伝われ




枯れ枝を
なんねんみすごし生きて来た
風よ光よ未来よごめんね







短歌 けもののうた Copyright 秋葉竹 2025-05-19 21:16:41
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