シミ
花形新次

あの人の声が聴きたい
あの人の言葉を知りたい
願っても
それは叶わないこと
私には
もう頼れるものは何一つない
すぐそこに海が見える
5月の青空も見える
しかし、それらは
どうでも良いことのように思える
あの人がいなくなって
しまった今では

手の甲のシミが
一つ増えていることに
今朝気付いた
そんな風に
無自覚のうちに
老いて行くのだろう
そして消えてしまうのだ

私の言葉を聴きたい
そんな人は
誰もいないのだから







自由詩 シミ Copyright 花形新次 2025-05-08 19:05:45
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