哀しみのフロンティア
栗栖真理亜
往き急ぐ世界が僕の眼を回す
ところ構わず疾走するヒトビト
巷で流れる音楽までせわしなく町中を駆け巡る
意味すら失ったコトバを主張しながら
あぁ、空っぽの桃源郷(シャングリラ)
虚しさを加速させるばかりで何の取り柄もない先端都市(フロンティア)
僕らの聖域(サンクチュアリ)は一体どこにあるというのだろう?
重ね合わさった手のひらが冷たい薔薇に変わるとき
疼きの鐘は天高く鳴り響く
秘かな想いは無惨にも粉々に砕け散り
ただ憂いの涙が一粒の宝石(ダイヤ)のように光り輝く
この闇の世界で行き場の亡くなった魑魅魍魎共が跋扈する無惨
哀しみにあえぐ夢の跡をひとつひとつ辿っては唇を振り絞る屈辱
いつか闇の明けるその時輝きの刃が世界を切り裂き
真の正しき道へと我々を導き出すだろう