偽善の虹、晴れる頃
ぱるむ
缶の底を
指の腹で
トーン…トン…
と叩いて
屋根に跨る
優しいあまおと…のリズムが
体温の熱い寒いという
中間地点の響きで、 聴こえた。
『きみは、別に、
僕じゃなくても 良いんだよ』
ああ、そう。
だから、 それは、
だからさあ、そう
さかさにしたら、 優しい世界だね。
とっても。
渇いた手を なるべくちょっと
思い浮かべるだけで もう、
あと一回、ちょっと キスしたくなる。
でも、怒るでしょう
だからしない、
もうしない…けど...
すこし、
そこのベンチでかなしませて。
僕は、笑い流せるほど つよい男じゃない
でも、女でもないんだ
じゃあどっちだと思う?
きみに教えてほしい。
どうかな、だめ?
ちょっと瞬きをゆすって
『みぎ、ひだり、みぎ、ひだり』
『あか、あお、あか、あお』
『わからない。 あいしたい。』
こたえに困ってゆこう。
この先ずっと
もっと、いつまでも
眉根の恥じらう、
声の、まんなかで
──ふ─っ
と笑った。
みっともない 夜を越えて
包んだティシュが躍って
ごみのなかでくしゅくしゅ
笑われても
二人が生きているじゃない
偽ったこともわらうから。
鼻水がちょっとあまいの。
ねえぎゅって摘んで みて。
秘密─ ─秘密─
ほかの人だったら、やだよ。