Bebe
リつ

輝いていた
満ち足りていた
知らぬ程に無垢だった


光が強ければ
闇は濃くなる。
そんな当たり前のこと
‘1+1’が
必ず‘2’には
ならないのと同じ。

蹴飛ばした石ころが
どこかに消えてしまったので、
ひび割れたジュモーの人形を後生だいじに引き擦りながら、
幼い私は
無言の扉を開けてゆく

誰もいない影
透えない確かな存在
空虚な部屋を覗きこむ度。
怖くなって
逃げ出したかったのだけれど
其の行為を止められず
繰り返す内緒。


誰もいない。
みんな居る。
私がいない。
探しても見つからない

ああ、
忘れてた。

光も闇もいらない、と泣いたから、
閉じこめちゃったんだ
完璧に虚ろな
あの人形のサファイア
眠る私。


こわすこと壊すこと。

クスクス、忍び笑い。
出来っこないんだ。
きれいな平坦
蒼い均一の夢
その輝きを。

今、


叩き割る


自由詩 Bebe Copyright リつ 2025-04-29 21:22:17
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