潮騒の涙
栗栖真理亜
君の瞳に僕は映らない
もういない
微笑みは涙となって海へと流れてゆく
まるで半身を引き裂かれたように心に激痛が走り
亡くした愛を捜している
あぁ、涙に滲む君の顔
君の姿
愛してはいけないと分かっているのに
愛してしまった僕の罪
いまこの場で胸を掻きむしり
雄叫びを上げる事が出来るなら
どんなにか気持ちが楽になるだろう
僕の分身だと信じた君の面影は
闇夜に紛れて消えてしまった
それは幻
儚い夢
あの慈愛に満ちた僕への眼差しは全て
嘘という黒いペンキで塗り重ねられて見えなくなった
君の声も遠くに霞んでゆらゆら揺れている
僕は君の何が好きだったんだろう
君を心から〝大事〟だと思ったその理由(ワケ)は?
全ての答えは波に浚われ儚く消えた