春のあわい
塔野夏子

君と私の
淡いあわいに
  泡のように
  浮かんでは消える
  気持ち を


 小径の菫
 曲がり角のスウィートピー

  淡いあわいに
  浮かんでは消える
  泡
   泡
    泡

  のような気持ち を

雲雀の声
頬白の声
    君と私の
    淡いあわいを
      あわれ
      あの日の重い記憶が
      よぎっても

    泡
     泡
      泡

    のように気持ち を

    春
    磔にしてしまった
    夢に
      ララバイを

      小さな雨
      かすかな風

      君と私の
      淡いあわいに
      浮かんでは消える

        泡のような気持ち は
        合わさって

      しゃぼん玉になって
      漂ってゆく

        その彼方にいつしか
        淡い春の虹




自由詩 春のあわい Copyright 塔野夏子 2025-04-25 11:16:19
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