我が母の教えたまいし歌
リつ

旅行鞄ひとつ手にもち
冬の夜を渡る夜鷹

哀しい瞳に行く先知らぬ望郷の念

子守唄が引き返す


吹き荒れる冬の嵐は枯れ葉を纏い
切なく胸を焦がすのは
浜辺で拾う貝殻のせい

耳を押し当て異国のメロディに染まる夕焼けの向こう
遥か夜の木霊が響く


   ー帰っておいでー


懐かしい希望が瞬きしてる
優しい星になり



母の胸で泣いている



        日本web詩人会2025年1月1日 初出


自由詩 我が母の教えたまいし歌 Copyright リつ 2025-04-25 08:59:26
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