陽光
たもつ



カレンダーの途中
発車するわたしの
ポケットがあった

行き先が非表示の時刻表と
あり合わせの足音
打ち水をする初老の駅員は
いつも固く唇を結ぶ
口の中で飼育している金魚が
飛び出してしまわないように

今日も至る所に深呼吸は溢れ
季節の陽光が降り注いでいる
中学生のとき同じクラスに
陽光という名の生徒がいた
時々ふと思い出して
人にその話をすることがある

壊れた記録の断片はきっと
壊れたから美しい
そのひとつひとつを
出鱈目な順番でなぞる
あの時、わたしは
幸せだったか



自由詩 陽光 Copyright たもつ 2025-04-25 07:06:51
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