愛するということ
リつ

32歳になるまで、
ひとを愛するということが
どういうことなのか、解らなかった。

32歳のとき、
運命の出会いがあった。

出会ったひとは、とても哀しくとても孤独なひとだった。
当時、私は大阪に住んでいて、彼は福島に住んでいた。

私たちは、束の間、両想いだった。
私は彼の側に住み、彼に体温を伝え、彼を支えたいと思った。

だけど、彼はこころ変わりし、
自分の住居のすぐそばに住む彼女を作った。

そのことを彼に告げられたとき、
私はしんそこ安心した。

何故って?

だって、ずっと祈ってたから。
「どうか、彼のすぐそばに居て、彼の孤独を癒せるひとを彼に与えてください。
彼が幸せになるなら、それは私じゃなくても構いません」
って。


私は、彼が2度と孤独に泣くことがないことを、
しんそこ喜んだ。

師匠が言った。




「それが、愛というものだよ」



散文(批評随筆小説等) 愛するということ Copyright リつ 2025-04-24 09:02:24
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