黒の残響

冷たい指先で触れた過去
黒いインクが滲むように
記憶からじわり漏れ出す
あの日ぼくが殺した夢が
まだ静かに息をしている

硝子越しに見る自分の影
歪んだ顔が口角を上げて
逃さないと脳内に囁く声
錆びた鎖が鼓動を咥える
懸命に抗っても同じ場所

黒歴史は決して拭えない
現在進行形より鮮やかに
脳内に飛び散る黒の火花
だけどそれがぼくである
硝子の向こうで踠く輪郭

時間を味方につけるしか
闇を飼いならせやしない
ぼくを丸ごと抱きしめて
発し続ける衝撃を喰らう
全身を駆け巡る黒の残響


自由詩 黒の残響 Copyright  2025-04-07 19:06:53
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