201

僕は君を値踏みしてる
スーパーでトマトやナスを選ぶように
車を買い換えるように

心で君を買えると思い上がってる

夢はいつか現実にするものなんだ
でも夢を見てる時にそれを夢だって
気付かないもんだろう?

現実になってみて
初めて何もかもが夢になるんだ

アオスジアゲハも
紋黄蝶も
アサギマダラも僕は見分ける

たとえ差し出した手に爪を立てられても
広げた腕の中にナイフを突き立てられても
眠っている間に死ぬ毒を盛られても

そこそこ生き続けられるように笑えるから

現実になってみて
初めて何もかもが夢になるんだ

僕のこの気持ちも
君のその嘘偽りも
誰も赦せない程の罪

きっと死ぬと思って笑ってるときほど死ねないもんだ

生き続けることを夢だと僕は思わない
幸せになろうとする姿が
誰よりも愚かなことを知っている

絶望は朝露の色

手の中で息絶えた恋に似合う小さな刺繍
永遠に続く星の光の歌声
けして途切れない約束で編んだ本

現実になってみて
初めて何もかもが夢になるんだ

カムパネルラを失ったジョバンニは
きっと彼のことを忘れられない
私が悲しみで潰えようとも

私が生まれるよりも前
新しい日を数えようとした人の祈りが
世界は美しいと唄い続ける

現実に
ねえ、現実に、触れて確かめられるように近くで


自由詩Copyright 201 2025-03-11 20:30:46
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