村上春樹はなぜノーベル賞をとれないか
室町 礼

まあ、ノーベル賞なんて正直クズなんですが、それ
は置くとして、なぜ貰えないか。
ケツロンからいうと村上春樹が「令和の吉川英治」
だということがバレてしまったからです。
あ、これ、わたしが言ってるのではありません。
googleが試験中の、最先端AIがそういっているのです。
まさか「令和の吉川英治」であると名指ししている
わけではありませんけど、概ねそういうことをAIが
語っています。

先日、こういうことがありました。
「村上春樹、なんでこんな面白くないの?」とある
日わたしは同じことを考えている人がいるかもしれ
ないと思ってgoogleの検索に打ち込んでみました。
するとかってにAIが起動したのです。
わたしはAIをyahoo知恵袋が量的に発達しただけの
イカサマ誇大宣伝だと思っていましたからこれまで利
用したことはありませんでした。とくにこのような主
観的な感想をAIに質問するということはあまり意味が
ないのですが、でもgoogleの検索枠に打ち込むとかっ
てにAIが起動して答えちゃったんですね。
曰く。

  村上春樹の作品が面白くないと感じる理由は、次の
  ようなものがあります。
  情景描写やレトリックが面白くない。
  比え話が一般常識や社会常識、ポップカルチャーの知
  識があれば理解できるものばかり。
  神戸出身のお坊ちゃんの譬え話などどうでもいいこと
  なので面白くない。
  一方、海外では高く評価されているという意見もあり
  ます。海外の「自称知識人」の琴線に触れるレトリッ
  クが散りばめられていると考えれば納得がいくという
  意見です。
  もちろん、生粋の村上春樹ファンが楽しめる本である
  ことは間違いありません。
  
ウソだと思う方はgoogleの検索窓に以下のように打ち込ん
でみて下さい。今だったら同じ答えが出るはずです。

  《村上春樹の小説はなぜ面白くないのか》

さて、googleが試験中のこのAIの回答ですが、笑ったのは
この回答全部が、そっくりそのままAmazon本のカスタマー
レビューをコピーしていたのです。色々検索したあげく発見
しました。
Rough and Readyさんという方の次のレビューです。
https://www.amazon.co.jp/review/R1YFAUS2FWMOMP/ref=cm_cr_srp_d_rdp_perm?ASIN=4623067262

Rough and Readyさんのレビューは詳細に語っていますがgoogleAI
のほうはそれを簡略化して盗んでいます。
要するにgoogleAIがRough and Readyさんに同調してその
意見をそっくりコピーしたのは、AIのほうも、
村上春樹の小説は令和の吉川英治的な大衆本であるから本格
的な文学好きの方には向かないと考えているからじゃないで
しょうか。くすっ。
いや、べつに吉川英治をバカにしているわけではありません。
小説に貴賤はありませんから吉川英治の通俗的な講談本がダ
メなわけではありません。
わたし個人としては退屈だから読まないというだけです。むか
し山手樹一郎を読もうと何度もトライしたことがありますが子
どものころから欧米の小説を読みふけったせいか、平板な通俗
本の語りにはなかなか入っていけませんでした。吉川英治と同
じく無理でした。ほんとうは読みたいんですけどね。こういっ
た着流し的な気休めのための小説、大衆に爆発的な人気のある
通俗本を読みたい。残念でなりません。
それはともかく、
なぜ村上春樹が「令和の吉川英治」だと世界的にバレてし
まったのか。イスラエルで行った講演が原因じゃないか
とわたしは睨んでいます。
「卵と壁」という浅はかな喩えが、少しは文学的な教養や
感性のある人々を驚愕させたのでしょう。
じつはわたしも「卵と壁」というレトリックを彼が語った
瞬間、呆気にとられました。(「なんと図式的で単純で平
板なことをあっけらかんと語れるのか。ある意味凄い人だ!」)
あの世界的な村上の春さんが、まさか、ウソ。こんな擬民
主主義的情緒を恥ずかしげもなく語れるとは?
なにかありげに霧に包まれていた彼の作風の正体とはこれだ
たのか!? 愕然としました。そして如何にも腑に落ちました。
村上本が退屈に感じられたわけだ、と。
そういえば彼は東京FMラジオでコロナ対策について次のよう
に語っていましたね。
「今必要なのはマスクとワクチンと愛ですね」
コロナに愛! さすが村上の春さんだ。令和の吉川英治だ。い
かにも通俗的な擬情緒を恥ずかしくもなく平然と語れる。
Rough and Readyさんがいうように日本の通俗的な知性、
「関東なら早慶上智、関西なら関関同立あたりを卒業した人」
たちの知性にはぴったりハマるかもしれません。通俗的など
とバカにするなと仰る方がいるかもしれませんが、これ、わたし
がいってるのではなくあのgoogleの最先端AIが同調していって
るのですからご容赦。

しかし村上春樹せんせいは近い内にノーベル賞をとるかも知れません。
最近、思いっきり反トランプ的な、欧州の無国籍巨大資本が泣いて
歓びそうな趣のあるバイデンよいしょの翻訳本を出したからです。
タイトルは『虚言の国 アメリカ・ファンタスティカ』
これティム・オブライエンの20年ぶりの小説『America Fantastica』
を翻訳したものですが、かなり無理があります。
「虚言の国」というタイトルは村上がかってにつけたもので、オブ
ライエンの原著にはそんなタイトルはありません。このあたりちゃん
と原著者の了解を得ているのか、かなり疑わしいところがあります。
また、作家のオブライエンは、村上がいうようにトランプを風刺して
いるとも思えません。これが書かれた期間は丁度民主党バイデンが
大統領の期間で、その間にオブライエンは民主党バイデンの本拠地で
あるワシントンからトランプの牙城であるテキサス州オースティンに
移り住んでいます。そこの気風が気に入ったからわざわざテキサスに
移り住んだのです。
毎日新聞の書評ではトランプ批判の書ということになっていますが、
明らかにバイデン政権のデタラメを風刺したものです。
村上はそれを思い切り反トランプ小説のように改ざんしているとしか
思えません。いずれにせよ、この功績で次はノーベル賞を与えられるか
もしれません。
穴があったら入りたい。



散文(批評随筆小説等) 村上春樹はなぜノーベル賞をとれないか Copyright 室町 礼 2025-03-11 10:15:54
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