春の別れ
レタス

私という存在を証明するものは何もありません
有るようで無い
無いようで有る
闇に明滅する蛍火のように微かなものなのです

煙草をふかし
ウイスキーを飲み干し
少しの食事で生きていることを知ります
それさえも別の誰かが見ている夢なのかもしれません

合せ鏡を見ているようで
どれが本体なのか解らなくて
鏡を割ってしまいたい衝動に駆られます
でも私にはそんな度胸は持ち合わせてはいないのです

今日電話が鳴りました
私たちは緑の紙に印鑑を押すことにしたのです
吉となるか凶となるかわかりません
互いに自由となることにしたのです

雪が降り春がやってきました
鳥たちも空を飛び交い自由を謳歌しています
月も頬笑み門出を祝ってくれました
私たちは笑いながら泣きました


自由詩 春の別れ Copyright レタス 2025-03-05 21:15:50
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