初恋
栗栖真理亜

夕陽に染まった校舎の窓ガラス
君は寂しそうな横顔でひとり石を投げてた
ぶつけられた窓ガラスの割れる音だけがただ虚しく心に響く

そう、僕は忘れない
眉間に皺を寄せ
剥がれ落ちる窓ガラスをグッと睨み付けるような君の顔つき
あまりにも印象的で
僕は立ち止まったままただ君だけを見つめていた

はっとした表情で気付いた君に
僕は見てはいけない物を見てしまったような秘密を感じて
慌ててその場を走り去ってしまったけれど
僕は君のなかに宿る孤独と優しさをそのとき知ってしまったんだ
あれから幾年か月日が流れて記憶が思い出に変わっても僕は忘れない

アノ頃の情景は僕の一生の宝物


自由詩 初恋 Copyright 栗栖真理亜 2025-03-05 17:43:58
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