月夜の晩に
鏡文志

私の詩は、土です。
砂利のような濁りの中に、とても自然でしなやかな手触りがあります。

私の声は、土です。それを音にして現します。

私の心は、砂です。荒れ狂う海を漂い、粉々に打ち砕かれて、今、ここにいます。

私に必要なものは、水です。石のような骨身を優しく撫で、その喉を潤すからです。

私のうたは、羽根です。飛んで行きたいと思うところは、月です。満月です。夕月夜です。三日月です。

私に足りないものは、愛です。
私の好きなものは、人の手です。その平の温もりや、肌触りが、好きです。

カーテンのレースを開けて、覗き込むのは、星空です。

今夜、逢いに行きませんか? 月夜の晩に


自由詩 月夜の晩に Copyright 鏡文志 2025-03-05 09:11:35
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