近頃は三途の渡し場も
やたら混んでいて
三途の川も
一年に一度しか
渡ることができなくなった

高度経済成長の団塊世代の人達が
大勢でやってくるように
なったからだ

中学生時代の仲間達と
ようやく三途の川を
渡っていくと
船着き場に
なつかしい顔の少年が
待っていた

おい
広田じゃないか
ひさしぶりだな
げんきにしてたか
待ってたよ
やっときてくれた
うれしいよ
これで
さびしくなくなるからね
おまえはいいな
高校生のままじゃないか
オレ達は
じじいになって
しまったよ

スマホで送られてきた
中学生の同窓会の物故者リストに
高校生の時に
オートバイの事故で亡くなった
広田秀一君に混じって
仲間達の名前が
載るようになった
長い旅だったね
５０年も一人ぽっちでいたんだね
もうさびしくないよ
広田君は
うれしそうに
うなずいたように
見えた