独心
栗栖真理亜
何故、今まで気が付かなかったのだろう
人間と言う獣を
何故、知らずにして生きて来たのだろう
私というたった独りの人物を
何故、知らぬふりをしていたのだろう
私と他人とはまったく違う方向にいる事を
やはり私は、誰にも愛されていないのだ
それよりも邪魔な奴だとさえ思われている
たとえ、私の瞳から涙が零れ落ちたとしてもその涙を理解する者はいないだろう
私は誰からも必要とされていないのだから
もしも、周りの者達によって私の存在を始末させられようとしても
私は、もうひとことも言うことはない
何故なら、私そのものは遠い昔に棄ててしまったのだから
私は他人を知ったと同時に己自身の本性を知った
私は絶望を胸に懐いて
これからも、辛く長い人生の道のりを歩いてゆくだろう