ぼくはゆめをみていた
詩乃
ぼくはゆめをみていた
キンキラ服を身にまとう
おかねもちになるゆめを
ぼくはゆめをみていた
たかいたかいマンションの
いちばんうえにすむゆめを
ぼくはゆめをみていた
せかいじゅうのおいしいものを
た~くさんたべるゆめを
もっともっとたくさん
もっともっとたかく
もっともっとおおきく
弾けた風船
耳をつんざくサイレン
いっさいのあくむ
鐵の塊が降り注ぐ
ビル群だったものは劫火の最中
少年のどてっぱらに風が吹く
少女の脳天に花が咲く
これは
おとなたちのゆめ
かれらはこどものまんまのすがた
もっともっとたくさん
もっともっとたかく
もっともっとおおきく
ぼくはゆめからさめた
ほしいものはもう、ない