ぼくはゆめをみていた
詩乃

ぼくはゆめをみていた
キンキラ服を身にまとう
おかねもちになるゆめを

ぼくはゆめをみていた
たかいたかいマンションの
いちばんうえにすむゆめを

ぼくはゆめをみていた
せかいじゅうのおいしいものを
た~くさんたべるゆめを

もっともっとたくさん
もっともっとたかく
もっともっとおおきく

弾けた風船
耳をつんざくサイレン
いっさいのあくむ

鐵の塊が降り注ぐ
ビル群だったものは劫火の最中
少年のどてっぱらに風が吹く
少女の脳天に花が咲く

これは
おとなたちのゆめ
かれらはこどものまんまのすがた

もっともっとたくさん
もっともっとたかく
もっともっとおおきく

ぼくはゆめからさめた
ほしいものはもう、ない


自由詩 ぼくはゆめをみていた Copyright 詩乃 2025-02-19 15:21:52
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