蒼き竜の楽園
栗栖真理亜

伝わらぬ言葉そのままに口噤んだまま下を向く

世の中何が正しくて何が間違っているのかてんで理解できない
きっとポリシーなんて在って亡きものなんだね

僕にはみ視えるよ
灼熱の炎と硫黄を吐く蒼い竜が
でも君には見えないかも

そう 誰も気付かないのさ
なにもかもメチャクチャにされたって
『蒼い竜なんて何処に居るのさ?』
君たちは笑うけど
ちゃんと居るよ
ほらすぐソコ
君たちの傍

世の中はだんだん滅びに向かっているけど
君たちはみな知らん振りしてる
僕はただ黙って涙流すけど・・・

蒼き竜が王座につくとき天使のラッパが鳴り響く
聖なる鉄槌振り下ろされて世の中はこなごなに砕けるだろう
僕たちはそらコレでお終いになる
きっとそれも〝お笑い〟になるのかな?

もう涙も枯れ果てた
僕は泣かない
枯れた大地を見下ろすけれど渇いた心には砂嵐すら吹き荒れない
どこまでも続く地平線に向かって大声で叫んだって誰も応えてはくれないのさ

あの日笑ったことも手をつないだこともすべて蜃気楼の中へ消えて
ただ哀しみだけがパンドラの箱の中に残った
口の中に残るにがい憎しみを噛み締めながら

ヒトはしょせんヒトを傷つけることしか学ばない
優しさという仮面をかぶりながらも平気で相手を罵り唾を吐きかける

一体全体白く濁った目には何が映るっていうんだろう?
空洞の仮面の裏にはなにがあるっていうんだろう?

それが知りたい
そう、宙に浮いた言葉を手がかりに
人間の真の姿をこの青き竜の支配する果てしない楽園で


自由詩 蒼き竜の楽園 Copyright 栗栖真理亜 2025-02-18 23:13:52
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