かんばせ
ひだかたけし
悲しみの
数々を通過し
忘却の内に
麻痺させながら
凍結した時々の
鞘の中に
いつのまにか
発芽して居るもの
その囁き 、
しんしんと
響き続け
閑かに聴き入る
しじまのひろがり
次第に明るみ
輝き出す
白銀の視界が
意識を
前へ前へと
誘い続ける
囁きの
凪いで
鞘から
顔を出し
ほっこり
うっとり
光の帯の
ゆるり流れ
留まること
なく流れ続け
(今朝、わたしは
わたしから出ていこうと
集中するヴィジョンで
神経をいっぱいにし
血流との接続を中断させ
自我の拳を握り締めたのだ
低い自我の意識の手綱を
引き絞り外界感覚を遮断し
わたしは、今朝の一時)
哀しみの
しじま
しんしん
思いの
言葉綴る
その手前、
言の葉
舞い散り
寄せ集める
意識の
奥処から
言霊の如き
鈴の響きの
不意の
力動在り
在り続け 、
私という意志に促され、
また私という意志を司り、
哀しみ過ぎて かのかんばせ