京の西陣悲恋唄
板谷みきょう
聞くも涙 語るも涙
与一とお園の悲恋物語
京の西陣 春まだ浅し
春の宵闇 手を重ね
呼べど届かぬ 見初めし恋は
風に消えゆく 散る運命
命をかけた 涙の誓い
一夜の夢か 恋の花
駆けてゆこうか すぐにでも
袖にしみ入る 夜の露
川面に揺れる 影ひとつ
来ぬと知りつつ 立ち尽くし
呼べど届かぬ 君の名を
独りささやく 宵の月
咲いて散るのは 儚き恋よ
願い届かず 風に舞う
結ばれぬまま 消ゆるなら
せめて夢路で 逢わんとぞ
薄紅の 花びらひとつ
与一の袖に 落ちて濡れる
瞳閉じたる お園の髪に
春の夜風が そっと吹く
触れられぬまま 散る想い
誰がためにか 咲いた花
涙も言葉も 消え果てて
ただ風だけが 知るばかり
夢に逢う日を 待ちわびながら
添えぬ悲しみ 夜露に濡れて
袖に残った 温もり消えて
京の町には 雨が降る
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