親愛なる Jigsaw Falling into Place!
るび
*
ふと気づく。
生きることは懐かしいことだ。
低い山々、山々。おやすみのジオラマをきみがくれた初夏への旅路。鈍行の交通機関でトンネルを挟んだミルキーフランスの田舎街。潮騒を耳にする。猫のようにタッと走ってゆく記憶。海だー。
きみの背中を抱きしめてみたいと思った。
光りの目蓋がゆっくりと閉じる夕間暮れ。
ぼくの成長がきみの未来の神話を好ましい方角へと指し示す予感がしていた。夜に去り行く星々を瞳で奏でるようなこと、不可能だって言いたくない。
得難い友との流星の一夜。ディズニー映画よりもディズニー映画みたいだね、キスしか知らないきみとぼく。
星々が鳴っている。泣いている、わわわって光りがする。きみの背中に伸ばした腕が和三盆みたいにほろほろ落ちる。粉々の光りの隅で今もぼくは息をしている。
気持ちの良いギターとまたたび。真っ赤な皇帝がきみの膝の上に鎮座しているみたい。日陰の奥の凍えた光りときみの指先。低くなった明かりが奥地を照らす声の響きに満たされる午前三時の天井いっぱいオーロラ、オーロラ!
親愛なる、Jigsaw Falling into Place*!
全人類と宇宙を足しても二度と逢えない最初で最後のきみとぼく。そして、きみの真っ赤なエレクトリック・ギター!
Gibson ES-335(奏でよう!)
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*>Radiohead「In Rainbows」より
この文章を買いていると元気でた。もう少し謙虚に生きてみよう。もうちょっと生きてゆこうかな。光りの瞬く朝に、おはようございますって、出会うひと、みんな、みんなに言いたいよ。