ターミナルの一つ先の駅に私は住んでいる
武富諒太
ターミナルの一つ先の駅に私は住んでいる
冬
川を渡る朝
光る水面と黒く大きな建物を
遠くの富士が見つめている
夏の帰りみち
車内であなたの言葉を読んだ私は
光を見つけた
その時
あなたに送った言葉は
あなたを照らせたでしょうか
私が生まれた朝が過去である様に
あなたがいる世界も過去になってしまった
それでも私は
うたう
自分の言葉で
あなたの言葉で
たくさんの私たちの言葉を借りながら
私の生まれた
私の住んでいる国の言葉で
行った事のない国の言葉で
会った事のない人の気持ちも
ターミナルの一つ先の駅に私は住んでいる
トンネルから出た車窓は晴れ
そして
あなたはイッテシマッタ