ターミナルの一つ先の駅に私は住んでいる
武富諒太

ターミナルの一つ先の駅に私は住んでいる


川を渡る朝
光る水面と黒く大きな建物を
遠くの富士が見つめている

夏の帰りみち
車内であなたの言葉を読んだ私は
光を見つけた

その時
あなたに送った言葉は
あなたを照らせたでしょうか

私が生まれた朝が過去である様に
あなたがいる世界も過去になってしまった

それでも私は

うたう

自分の言葉で
あなたの言葉で
たくさんの私たちの言葉を借りながら

私の生まれた
私の住んでいる国の言葉で

行った事のない国の言葉で
会った事のない人の気持ちも

ターミナルの一つ先の駅に私は住んでいる
トンネルから出た車窓は晴れ

そして
あなたはイッテシマッタ


自由詩 ターミナルの一つ先の駅に私は住んでいる Copyright 武富諒太 2025-02-11 12:25:25
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