偽りの花園
栗栖真理亜
偽りの花園で彼は笑いながら踊り狂う
どぎつい照明の下でひとときの快楽に酔いしれたふりをしながら
客席に目を向け品定め
彼には真の美徳よりも大切な金蔓からいくら金を搾り取れたか・・・
ということしか頭にない
“奉仕”よりも“ビジネス”を好む彼にとって
笑顔と涙の代償は金、かね、カネ・・・
それが彼にとってなによりも優先
まさにハングリー精神からまなび得た知恵
今日も“愛”という魔法をかけて拍手と歓声を浴び
観客から金を毟り取ってゆく
そうとも知らず
魔法をかけられてしまった哀れな客も喜んでそれに応え
蟻のように群がっては惜しげもなく大枚をはたく
ああ、美意識のはき違い
嘆きの薔薇は投げ捨てられたゴミ箱の中で
茶色く萎れた花弁を震わせながらため息ひとつついた