真夜中の手紙
201
この世には人間のくずがいっぱいいる
ということを
僕は君に教えなきゃならない
明日空に虹がかかるのを
あれだよ
と指差して言葉で話すみたいに
自分がくずだと思わないくせに他人を見下げ果て
自分が世界のてっぺんにいると
そう思ってしまっただけの人間が
この世にはいっぱいいるんだってお話をいつかしなきゃならない
歩いているだけの時に
嫌ではない
面倒でもないし
君にはお花をいっぱいあげたい
この世は美しいものでいっぱいで
優しい人と愛しい人しかおらず
とても満ち足りた生活ができると
信じさせてあげることができたらいいのに
ああきっとその時君はこう云うのだ
「知りたくなかった」と
前を向きながら
太陽、とひとことを理解するのに精一杯で
僕は君を祝福するだろう
いついかなる時も諦めずに明日が来ることを
受け入れられるように
僕はきっといつかのように笑いながら
もう一度君の手を取るだろう
それしか出来ない
この世には人間のくずがいっぱいいるんだと
それも
自分のことが本当はなんだか分かりもせずに
幸せだと言って憚らないんだと
僕は君に教えられるだけのことを
ちょっとずつ
ケーキを切り分けるように話すだろう
別に食べなくてもいい
これが愛だというだけだから
これが優しさだというだけだから
僕はこの世にいるくずの中に
くずではないものを見付けられなかったことを
恥じていると