長男への2年後の追悼儀式用台本
鏡文志
えー、歳をとるということは段々存在が軽くなっていくということで、私のような人間にとっては大変身軽でいいもんだと言う時代がやってきたとも思うのですが、うー、やれ事業所を辞めたいと言い出すんでも、
「辞めたいならやめればいい」
と言ってくれる。その軽みに耐えかね、こうやって非行の果てに、お亡くなりになるということもえー、あるのかと思うと、うー、家に帰ればまた仕事を辞めたのか? 早く新しい仕事を見つけろ。それが出来ないなら入院しろと勧める人間がいる。
そういう意味ではやっと楽になったと、今亡骸を見て安心している気分です。
日本は人権国家と言われますが片方の人権しか認めていない。なにかというと加害者でありいじめっ子の人権ですね。あなたが学校でいじめを受けた時、いじめっ子の人権は守られた。貴方が親にいじめを受ければ親のいじめは守られる。貴方が私をいじめ吐口にし続ければ、貴方の人権は守られる。
精神病院に強引に入院させた人間、かろうじて逃げた福祉の人間も同じように私を縛りつけ、その方々の人権も守られる。独り立ちする案を練り、それが成功するまではすべての私をいじめ縛りつける人間の人権は守られ続けるでしょう。しかし私がもし事業所で私より弱い人間を見つけ、それをいじめたならば私が人権によって守られる可能性だってある。私がそれをしなかったか? しようとしなかったかはご想像にお任せします。
無敵というのは敵がいないということでもある。この世に無敵者などいはしない。かろうじているとすれば亡者であります。死人に口なしと言いますからね。
40年間こうやって亡骸を見るまで私は貴方のいじめに耐え続け、離れた後も後遺症に苦しみ続けました。
両親はあいつは病気だから我慢しろ、顔だけは殴るのをやめろと言っておいたと他は殴ってもいいがと伝えたと私に言い、今もこうやってそれを黙認し続けた親族世間両親の人権は守られ続けております。
人のいうことを素直に聞く子供が損をするのは、聞かん坊が徳をする世の中になったからです。いい子だけれど損をしているのだから馬鹿じゃないかということに結局なる国になった。
世間がそれを黙認し続けたのは知らないという面もあるでしょう。誰が漏らすことを躊躇ったか? 私の両親家族です。放火事件で凶暴性も少しは漏れましたが、多少の野蛮性の一端しか知れ渡らず、後は社会的弱者の被害者だという評価が一定でしょう。それを覆すような証拠もなく、私の証言も両親により妄想だと片付けられればそれでお終いかも知れません。
神はあらゆるものを作った。出来損ないのチンピラさえも作った。神に良心はなかったのでしょうか?
神は正義と邪神を生み出した。神に考えつかないことに人間が考えつくこともあろうはずがない。貴方の考えたことも神の考えたことの一つです。しかし人間界では廃案になった。貴方は失敗者です。神は全てをお許しになるでしょう。アーメン!