小雪舞ううた
秋葉竹
おやすみなさいと
満月から聴こえた声は
夕方までの小雪のせいか
虹色の幸運にくるまれてるみたい
ゆっくりと眠れそうで
おもわずおやすみなさいと
ちいさなつぶやきをもらしてしまう
エーテルのようなヨタカの
せつないなき声が震えているのは
きっとこころから祈った昼間の讃美歌が
マフラーみたいにこころを巻いていて
夜になるとあたたかいマフラーを
教会に置いて来てしまったことに気づくから
夜の繁華な街にひしめく店たちは
ケバケバしくアイシャドウやマスカラを
つけた目で満月に照らされている
そこにわすれものみたいな
儚げな小雪一粒
舞う
舞う
舞い
舞い
黒のアスファルトで
声もなく
溶ける