小雪舞ううた
秋葉竹


 

おやすみなさいと

満月から聴こえた声は

夕方までの小雪のせいか

虹色の幸運にくるまれてるみたい

ゆっくりと眠れそうで

おもわずおやすみなさいと

ちいさなつぶやきをもらしてしまう


エーテルのようなヨタカの

せつないなき声が震えているのは

きっとこころから祈った昼間の讃美歌が

マフラーみたいにこころを巻いていて

夜になるとあたたかいマフラーを

教会に置いて来てしまったことに気づくから



夜の繁華な街にひしめく店たちは

ケバケバしくアイシャドウやマスカラを

つけた目で満月に照らされている

そこにわすれものみたいな

儚げな小雪一粒

舞う

舞う



舞い

舞い

黒のアスファルトで

声もなく

溶ける








自由詩 小雪舞ううた Copyright 秋葉竹 2025-02-06 00:46:01
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