衣 装
塔野夏子
衣装という過剰と
わたしという過剰が出会う
わたしの過剰は
欠落の過剰
そこに
衣装という過剰が容赦なく流れ込む
わたしの欠落も
流れ込む衣装をしたたかに咥え込む
衣装はわたしを侵蝕しながら
わたしの身体に拠りかかりうねる器となる
わたしは衣装に絡め取られながら
衣装に拠りかかり身体の芯を据える
喰み合い
精気を奪い合う
衣装とわたし
そんな衣装だけが
わたしの立つ場所を舞台にする
そんな衣装だけが
ひとときわたしを美しく存在させる
自由詩
衣 装
Copyright
塔野夏子
2025-02-05 20:52:08