地の塩の一生
天使るび



 (蝋燭の火を吹き消すたびに)

 自らの首元でライターの火を
 しゅぽんとつける

 偉人たちも静かに燃えて
 海の木陰に積もる雪

 水底へと枝ごと

 落
 ち
 る

 澁澤龍彦のカタチをしたウミユリと
 水底でみたプラネタリウム

 ウミユリの(    )
 まなざしのそばに

 「誰か」いるだけ/本当は
 「ぼく」もいなく て

 (澁澤龍彦はウミユリでしかない)

 ウミユリは静かに微笑む
 頷くように揺れて

 (いる!)

 みんなの信じているカタチが
 いまの未来なんだね

 「白い光りね」

 海から引き揚げられた
 地の塩の一生です





自由詩 地の塩の一生 Copyright 天使るび 2025-02-05 19:39:40
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