地の塩の一生
天使るび
*
(蝋燭の火を吹き消すたびに)
自らの首元でライターの火を
しゅぽんとつける
偉人たちも静かに燃えて
海の木陰に積もる雪
水底へと枝ごと
落
ち
る
澁澤龍彦のカタチをしたウミユリと
水底でみたプラネタリウム
ウミユリの( )
まなざしのそばに
「誰か」いるだけ/本当は
「ぼく」もいなく て
(澁澤龍彦はウミユリでしかない)
ウミユリは静かに微笑む
頷くように揺れて
(いる!)
みんなの信じているカタチが
いまの未来なんだね
「白い光りね」
海から引き揚げられた
地の塩の一生です
*